僕タチ、オトコノコ。

やっと!やっとです!!
小説を1つ書き上げたっっ!!!(パンパカパーンっ★)
・・・当初予定していたモノとは全く違うモノですが。

それにしてもタイトルが古い。
友達によく言われたものです。
「お前のタイトルセンスは古いんだよ」と。

知ってます。わかってます。
でもいーんです!!

ちなみに香蘭は最後の方にしか出てきません。
初めて書き上げたモノがソレかい!て感じですけど
少しでも楽しんで頂けたらと思いマス。

ではどーぞ!

 

 

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

「陛下は女の人が好き、なんですよね?」
「…え?」

唐突な吏元の質問に、その場にいた志季と俶豹と雨帖の動きが止まった。

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いつもと同じ様に学校へ偵察に訪れた志季は、いつもと同じ様に授業が終わった香蘭と楽しいひと時を過ごそうと教室へと向かった。
しかし、そこにいたのは俶豹と吏元だけ。辺りを見回すが香蘭の姿はない。

「今日は香蘭は来てないのかな?」
「あー、あいつなら双子がなんかギャーギャー言いながら連れて行きましたよ。
まぁ、荷物も置いていってるし、そのうち戻ってくるんじゃないすかね」

そう言うと俶豹は、そそくさと机の上に開いていた冊子を片付けようとする。
すると吏元から抗議の声が上がった。

「ちょ、ちょっと待てって、俶豹!
オレ、まだ途中までしかみてねぇっ!それに例のページまだみてねぇしっ!!」
「・・・お前、陛下の前でまだみる気かよ?」
「?二人とも何を見てるんだい?」

そう言って志季が二人の間に置かれた冊子に目をやると、そこには巷でウワサの春画が。

「・・・」
「あ~・・・。これ、最近人気のヤツなんすよ。
たまたま手に入ったんで吏元に話したら、どうしても見たいっていうもんだから持ってきてやったんすよ」
「へ、陛下も雨帖様も、男なら!この見たい気持ち分かりますよね?!」

この場を見られた気まずさから吏元は焦って二人に強く同意を求めた。
しかし、ふとあることを思い出し志季を見る。

「どうかしたかい、吏元?」

少し戸惑った吏元だったが、意を決したかのように志季を真っすぐみると己の疑問を素直にぶつけてみた。

「陛下は女の人が好き、なんですよね?」
「…え?」

なんともな爆弾発言にその場にいた吏元以外の全員が凍りつく。

「いや!前のあれは誤解だとはわかってるんですけどっ。
へ、陛下って全然キョーミとかなさそうだし!
ホントのとこ、どうなのかな〜って・・・」
「おまっ!ふ、普通聞くか?!
しかも陛下に!!!」

慌てふためく俶豹に、この場の行く末を生暖かく見守ろうと心に誓う雨帖。
あらぬ疑惑を掛けられたら当の本人はというと、この誤解の発端を作った円夏を少し恨んだ。

「吏元。前にも説明はしたけど、私はちゃんと女の人が好きだよ」
「け、けど。そうはいっても陛下はあんだけの美女ばっかのお見合いパーティーとか開かれても見向きもしなかったて聞いたし。」
「それは今はまだ必要ないと思っているからで・・・」
「だけど!あんだけ言い寄られたりしたら、普通はムラムラきたりとかするでしょ?!」
「ム、ムラムラ?」
「なぁ、俶豹!!」
「えぇっ!そこで俺にふるかっ?!」

俺をまきこむんじゃねぇ、とばかりに吏元を睨むが二人の視線がすでに俶豹へと向いていたため逃れる術もなく、仕方なく頭をかきながら世のお年頃男子を代表して世間の一般論を語る。

「まぁ・・・。普通ならムラムラするし、妄想するだろうな。
けど、陛下を俺らと一緒にするのは・・・」
「陛下、これです!これなんです!!これが男として当たり前の反応なんです!!
むしろ、陛下の反応がおかしいんですよっ!!!」
「えっ・・・!」 


・・・一国の王にここまで言うとは。
しかし、普段の陛下には年相応らしさというものがあまり見られないので、これはいい機会なのかもしれない。

それに。
この場を陛下はどう治めるのだろうかという好奇心もあり、雨帖はさらにそのまま「青い青春劇場」を生暖かく傍観することにした。


「例えば!好きな子と手をつなぎたいとか、抱きしめたいとか、キスしたいとか、それ以上うんぬんとかっ!男なら!!色々と妄想とかしたりしないんですか?!」
「う、うーん。どうかな?」

矢継ぎな吏元の質問に、どう答えればいいのかと曖昧な答えを返す志季。
なんとか早くこの話を終わらせて香蘭に会いたいのだけど。
適当に合図に打って、さっさと終わらそうかとも思案した。
だが、吏元の納得のいく答えを出さなければ治まりそうにもないこの場の雰囲気。
どうしたものかと考える。

「じゃあ!好きな子に似た春画とかあったりしたら見たいとか思いませんかっ?!」
「えっ・・・」
(あのバカ!それはマズいだろ?!)

何故、ここで春画の話が出てくるんだろう?好きな人に似た春画なんて。
ん?吏元の好きな人は香蘭だよね。
・・・まさかとは思うけど、この話からするとあの冊子には香蘭に似た女性の絵が・・・?

これはヤバイ!マジでヤバイ!!俺の本能がそう呼びかけているっっ!!!
志季から漂うスーパーサイヤジン並みの、ただならぬオーラが湧き上がるのを感じとった俶豹はその場をそっと離脱しようとした。
と、その瞬間。
凄まじい殺気と共に背後から掴まれた肩がミシミシと音を立てる。

「ねぇ、俶豹・・・。どういうことなのかな?
その冊子、渡してくれる?」

恐る恐る振り返ると、そこには飛ぶ鳥も射落とせそうな覇気を身にまとった、冷たい微笑みを浮かべる志季の姿があった。

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「な~んだ。陛下もやっぱり男だなぁ。
見たいなら恥ずかしがらずに最初から言えばいいのに。」

春画を志季に渡して(取り上げられた)教室を後にした吏元は己の疑問が払拭されたことに気分が高揚し、軽い足取りで家路を進む。
その横では陛下より例の冊子回収という重大任務を直々に受けた俶豹が重い足取りで家路につくのであった。



「陛下。その回収した冊子はどういたしましょうか?」
「あぁ。誰の目にも触れないように私が焼却処分するよ」
「・・・そうですか、わかりました。
あぁ、もうこんな時刻ですね。帰りの仕度をしてまいります」

そう言って馬車の用意にむかった雨帖の背を見送りながら、志季は今日は会うことが叶わなかった香蘭の姿を思い出す。

「香蘭、会いたかったな・・・」

ふと。
さっき俶豹から取り上げた冊子のことが頭に浮かぶ。
香蘭に似た女性が載っているとのことだが・・・。

「・・・本当に似ているのかな?」
 
本当に彼女に似ているのか?という好奇心と
彼女の姿が見たいという思い。

気が付くと志季はその絵を求めて冊子の頁をめくっていた。



「あれ?志季、どうしたの?」
「っっっ!!!」

鈴がなるような声と共に志季が会いたいと願った少女が、ふいに自分の視界に飛び込んできた。

「こ、香蘭っ!!!」


確かに私は彼女に会いたいと願った。

だけど。
できればこのタイミングでは会いたくなかったな・・・。

この冊子片手に
君に少し似た女性の、あられもない姿が描かれた頁。

君への後ろめたさと、気まずさ。
けれど、それよりもなによりも・・・。

本物の香蘭を目の前にすると、さっきまでなんとなく見ていただけだった絵と香蘭が重なって心臓が早鐘を鳴らしだす。

吏元が言っていたのはこういう事だったのか?
これはマズイ。
本当にマズイ!
あられもない姿の香蘭が浮かんで、まともに彼女の顔が見れないっ!!(汗)

「志季?大丈夫?具合でも悪いの?!」

なんだかいつもと様子が違う志季に、心配する香蘭が近寄って熱を確かめようと額へ手を伸ばしてくる。
いつもならそんなに気にしていない彼女の胸元や項が妙に艶めかしく感じる。
反射的にゴクリと喉が鳴り、誘われるようにその頬へ、その背中へ手を伸ばそうとした。

その瞬間。

パサリ。

「え?」
「あっ!」

二人の足元には例の冊子が、例の頁の見開きで天を仰いでいた。

「////っっっ!!!」
「こ、香蘭!!」
「し、し・・・っ」
「ま、待って!香蘭!!これは違う・・・」

「志季のスケベーーっっっ!!!」


香蘭の叫び声が校内中に響き渡ったその日は
夕日に鮮やかに染め上げられた空がとても美しかった・・・。



【終わり】

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